カテゴリ:パリ歌舞伎( 1 )

3月29日の木曜日は、パリオペラガルニエの
市川團十郎、海老蔵、亀治朗を中心の、市川家歌舞伎公演、
『勧進帳』・『口上』・『紅葉狩り』 を観に行ってきました。

挿入の写真は、私が撮ったもので、暗いのでピンボケばかり。
何とか加工しなおしましたが、お見苦しくてスミマセン。
雰囲気が伝われば...と思います。

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私の歌舞伎との出会いは、
中学か高校の時、学校主催で国立劇場に連れて行ってもらった時がはじめて。
それ以来、大人になっても時々チケットが手に入ると、国立劇場に行ったりしていました。
フランスで暮らすようになってからは、よりいっそう日本の文化に惹かれて、
日本に帰国の際には、必ず歌舞伎座に行く私であります。
数年前のパリシャトレ座、2005年のシャイヨ宮も漏れなく行きました。
フランスで徐々に認められるようになった歌舞伎が、
今回いよいよパリオペラ座、それもガルニエでの初公演!
この記念すべき歴史的イベントを日本人として何としても観たい!と、
インターネット予約開始日に、必死に挑んだにもかかわらず、
希望の日時やいい席はあれよあれよと言う間に売り切れて、
この日の2階の横からの席になってしまいました。
でもまあ、その場にいて観れればいいので、大満足であります。

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歌舞伎のどこがいいのか?
まずやはり着物や舞台背景の色でしょうか?
どよんと曇ったような日本の薄い日の光の下でだからこそ美しい、
なんともあいまいな色。
ヨーロッパの強い太陽光線の下ではちっとも映えないあの色が
日本の美のひとつだと私には思えます。
それから、人間国宝になるほどの人達による、究極の芸。
小さい頃から一筋に磨いてきた芸には、やっぱりうなってしまいます。

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全般として見ていて気持ちがいいので好きな歌舞伎ですが、
おっかけをするほど内部事情に詳しいわけでなく、
この度も、亀治朗が誰なのか、ちっとも知らない有様。(恥)
今の大河ドラマ『風林火山』に出演の方だったのですね。
レギュラーを持ってお忙しいのに、パリ公演に参加で、すごい!
と知る人はおっしゃっていたようですが、私はキョトンでした。
海老蔵のプレイボーイぶりも全く知らない私。
別れたはずの女優さんがお母さんと一緒に、團十郎の奥さんの隣でパリ講演を観ていて、
よりが戻るのか....と、いろいろ噂されているのも、後から知った次第です。

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團十郎はがん治療を克服されての公演。
『勧進帳』は義経や弁慶が何なのかをよく知らない外人には、分かりにくい出し物で、
今まで取り上げられなかったそうですが、
市川家のお家芸なので、あえて今回演じられることになったそうです。
そんなことがないと祈るばかりですが、
病気だった團十郎の弁慶はパリで今回限りかも...
なんていう声もないわけではありません。
海老蔵の声の張りに比べて、團十郎の声に元気が無い様に思ってしまいました。
やはりお疲れだったのでしょうか?

前回のシャイヨ宮以来、なんと言っても目玉は、フランス語による口上。
シャイヨ宮の時はフランス語を話さない人もいましたが、
今回は全員フランス語で、一人ひとりが長く述べていました。
あれは亀治朗だったのかな? 歌舞伎の歴史を長々とフランス語で説明していました。
途中で間違えた時も、「Oh Pardo~n!」 と落ち着いて言い直して見事なものでした。
彼らのフランス語の台詞が同時に上の電光掲示板に字幕で出るのですから、
台詞を覚えるのが商売の役者さんとはいえ、やる方は完璧に覚えてないといけません。
『...私は暁星高校を卒業し、高校でフランス語を学んだので、
私のフランス語を皆さんが分かってくださるとうれしいです...』
と述べた方はどなただったでしょう。
確かに私の行っていた学校と姉妹校だったこの学校には、
歌舞伎のうちの子弟がたくさん通っていたのを思い出しました。

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パリの初日の様子はいち早く日本のNHKBSハイビジョンで放送され、
母が録画して送ってくれました。
初日は團十郎が弁慶を演じていましたが、
私が観たのは、海老蔵が弁慶でした。
健康に配慮して、一日交代だったようです。
なので、お芝居最後での「にらみ」は海老蔵のもの、
口上では團十郎の、2つの違った「にらみ」を観れたことになります。
日本からツアーできている方達が、2回講演を観るのは、そのためだったのかもしれません。

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それから團十郎の弁慶は、にらんだ後、幕に下がりましたが、
私の観た海老蔵の弁慶は、舞台の真ん中正面に作られた花道に下がっていきました。
客席に入るところに小さな扉も付いているし、坂道にもなっているし、通路も狭いのに、
長い棒を持って、片足で降りていく時、お客さんに棒が当たらないかと、ひやひやしました。
紅葉狩りで山の神様の役を演じた亀治朗も、花道から出て、花道から去っていきました。
普通花道はちょっと横にあるものですが、まん真ん中だし、
舞台との境には敷居もあるので、ピョンと飛び越えなければならないし、
團十郎には難しかったのでしょうか?

紅葉狩りでは海老蔵の女形役には惚れ惚れしました。
でも最後にその姫は実は人食いの化け物~というお話で、
最後の荒々しい獅子のようなあの長い髪を振り回すシーン、圧巻でした。
衣装も、「こんな色、普段歌舞伎座で使うかな~」と思わせるような、
ブロンズともゴールドとも言えるオレンジ系のキラキラで、
オペラ座のキンキラキンの内装に決して負けない、
オペラの衣装みたいな派手さ、豪華さでありました。
稲光に見立てた照明も、歌舞伎座では多分行わない、
現代のお芝居で使う光り方でした。
後から見た母からの録画の解説で、
照明は普段の歌舞伎よりも暗めにしてあると聞きました。
フランス人って、目が青いせいか、まぶしいの弱いですものね。
そんなところも、オキシダンタルなテイストを私に感じさせたのかもしれません。

NHKハイビジョンで、パリ公演の準備のドキュメンタリーや、
口上・紅葉狩りも含めた全ても、これから放送されるそうです。
また母に録画を頼んで送ってもらいます。
それを見るのが楽しみです。

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私が行った日は、半分くらいが日本人。
ざっと数えて、50人くらいの女性がお着物でした。
私の隣の席の日本人女性も着物姿でした。

去年10月母が来た時以来半年振りのパリで、しっかり美容院にも行きました。
着物も持っていけば、そこで着付けていただけるということも知りました。
私の美容師さんも、ちょうど同じ日に歌舞伎にいらっしゃるそうで、驚きでした。
歌舞伎に行くのに、自分で着付けた着物で...なんて全く自信ないです。
次回は美容室で着せていただこうかしら?
前の方の席の日本人女性の着付けが、きっとパリだしドレス感覚だからいいのでしょうけど、
まるで芸者さんのように襟をものすごく抜いていらっしゃって、
やっぱりあれはよくないですね。

一緒に観たお友達とも久しぶりに会えたし、お寿司もおいしくいただいて、
泊めてもらっておしゃべりもして、翌日のお昼は新しくできたお好み焼き屋にも行って、
久しぶりに日本を堪能した2日間でありました。
今度の帰国にもやっぱり歌舞伎に行こうっと。
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by tchierisu | 2007-04-11 00:23 | パリ歌舞伎