落ち込みながらも、思い出深い作品の完成。Mary Wigham SAL


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NEEDLEPRINT SAL
MARY WIGHAM 299X289 60cmX60cm
FABRIC : 32COUNT PERMIN LAMBSWOOL
THREADS : DMC・Weeks Dye Works・pomme de pin
2 over 2 (M Wigham・Tchie.S.B 2009部分1over1)


6月下旬から始めた、NEEDLEPRINT SAL MARY WIGHAM が、落ち込みの中、やっとの思いで、
22日の日曜日の午後、完成いたしました。
その後、手洗いし、乾かして、アイロンをかけたものの、
先週は雨ふりが続き、なかなか撮影しても良い写真が撮れず、
やっとビジュアルに耐えられるものができたので、アップしたいと思います。
お日さまがほんのちょっとしか射さない、秋のフランスの午後の光で、やっぱり暗いですけど、
まあまあ肉眼と同じ感じの色味が出ているかな~ と、自己満足…。

週に一度という早いペースで発表された9つのチャート。
それに沿うように撮ってもみました。↓

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中央部分のMaryちゃんの名前は1over1のバージョンを選びました。
自分の名前と今年の年号も、お揃いで1over1にしました。



とにかく最後の2か月近くは、もう落ち込みの真っただ中で、半放置状態となりました。
黒の色がどうしても許せなかった私、黒の近くに濃い色を持ってくれば耐えられるのでは?と最初に色を変えたのが全ての元凶でありました。
周りをぐるっと完成させたまでは、「お花みたい」と褒められて気をよくしてよかったのですが、
その後、中が詰まって行くうちに、その色のまとまりのなさに苦しい日々…
刺している時は、スクロールフレームを使っているので、そのちょっとまわりのあたりしか見えず、コントラストはまずまずなのですが、
場所を変えるべく広げた時の落ち込みようと言ったら…
なんて私はセンスがないんだろう…と、続々と出来上がる他のステッチャーさんの素敵な色のアンサンブルを見るにつけても
落ち込みは激しくなるばかり…
でもほどいてやり直すなんてほどの力もなく、ますます泥沼に。
それでも、なるべくまとまるようにと、なるべくトーンを落とした色、一度使った糸を持ってくるなどしてみました。
モチーフが全部刺しあがってから、後はイニシャルを残すのみとなっても、気が進まず、
もう一息のところで、1カ月があっという間に経っていきました。

刺繍を刺さない私を心配して、理由を知ったクマは
「そんなことないよ、パステル加減がいい感じでできてるよ」と言ってくれますが、私には慰めにしか聞こえません。
そのことを、すでに仕上がったステッチャーのお友達に言うと、
「結局最後に額装して飾った時に、毎日目にするのはご主人だけで、その彼がそう言ってくれるなら…」と励ましてくれました。
なんとかその言葉で気を取り直し、最後のイニシャル部分に入りました。
まずはこのSALを企画してくれた、ジャクリーヌさん、日本のヘッドガールのnarukoさん、フランスヘッドガールのポールさん、
ステッチの大切な友人たち。
私を刺繍にいざなってくれたお友達、手芸全般の世界を広げてくれた私が先生と崇めるお友達。
私の両親、クマの両親、兄弟、その連れ合い、子供達、
ラッキーちゃんやオオキミ、ベラちゃんという動物たちにいたる一族郎党、
今こうしてステッチをしている幸福な私を取り巻く、ありがたい魂みんなをステッチしました。。
そんな人たちの一人一人を想いながら、彼ら一人一人をイメージし、ゆかりのある糸色を選んで刺しました。



まとまりのない全体となりましたが、個人的には、各ディーティールはとても気に入っております。

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私のハンドルネームtchierisuに因み、ご縁を感じる、ガッツポーズのリスちゃん。
糸選びに苦しんだ挙句、pomme de pin というフランスの段染めコットン糸のシリーズも登場させてしまいました。
身体としっぽの部分を続けないで、色の出具合をこだわりました。自己満足。
亀刺しの私、リスちゃんの上にいる物体は鳩か?とも言われましたが、私は迷わず 亀 と判断。緑色です。


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Pomme de pin の糸が本当に好きです。
中でもこの鳥さんを刺した紫基調の染めの色味が一番のお気に入りです。


こんな落ち込み気味の大満足とは言えない出来上がりの作品ではありますが、
仕上がってこうして写真を眺めて見れば、私にとってはやっぱりとっても思い出深いものとなりました。
たくさんの「はじめて」も詰まっています。

はじめてのクエーカー。
はじめてのSAL参加。
はじめて自分で配色を考える ←もう2度としまいという良い教訓となる。
(だいたい、何故私がクロスステッチをして楽しいかと言うと、
『自己のアーティスト性の貧困さに言及することなく、チャート通りに刺していさえすれば、
額に入れられるひとつの立派な作品が出来上がるという喜び』
という基本ポリーシーをすっかり忘れていた、それを思い出させた貴重な体験。)
はじめてのフランス人ステッチャーさんたちとのコンタクト。
はじめてのオペラ座への刺繍持ち込み撮影。(母の協力という思い出)
はじめてのイギリス人とのフランス語によるコミュニケート。

…などなど、この数か月の間に、数々の貴重な体験を持つことができました。


久しぶりの翻訳でえらく時間がかかってしまいましたが、日本のヘッドガールnarukoさんの翻訳のお手伝いもできました。
その後もnarukoさんは毎日フルタイムのお仕事でお忙しいというのに、
あのエネルギッシュなジャクリーヌさんのブログを毎日翻訳、
NEEDLEPRINT JAPAN を立ち上げられました。
でもその日本語翻訳のお陰で、私はこのSALを心から楽しむことができたのです。

1ページづつ刺さず、まわりから刺し進めて、「ポンチョ計画」なんて名付けた私を 楽しんでくれたフランスヘッドガールポールさんとの出会いも、
思い出深いものとなりました。
母とパリオペラガルニエでMaryちゃんの撮影をしたのは本当にいい思い出になりますが、それも彼女の提案があったからこそです。
そんな楽しいアイデアが湧き出る彼女とは、その後も時々メールでやり取りをさせていただき、モチベーションアップとなりました。
お世話になったのは私の方だというのに、なんと光栄なことに、彼女はご自身のMaryちゃんの中に私のイニシャルを刺してくださいました。
私も刺さないでいられましょうか…
彼女は今は白内障と緑内障の手術を終えたばかりだと伺いました。
にもかかわらず、こうしてブログと翻訳を続けて、私たちに提供してくれるなんて、本当に脱帽。
たとえ目が悪くなっても刺繍は続けられる という例を見せてくれた、私にとってはとっても勇気づけられる貴重な存在です。
これからも時々交流を持ち、いつか南に降りた時にはぜひ一度お目にかかりに伺いたいと思う方です。

ジャクリーヌさんも、私のために、わざわざフランス語でメールをくださいました。
こんな太っ腹な偉大な企画を立てて、素敵なチャートを提供してくださった、エネルギュなお忙しい彼女が、
私にまでメールをくださるなんて、本当に恐縮至極でありました。
なんといっても、あのビートルスの謳う、ルーシーの家族のご近所さんだったなんて、そしてそのルーシーの訃報にこのSAL参加中に触れるとは…

こんな素敵なご縁を持つことができたお三方に心よりの感謝をこめて、イニシャルを作品に刺させていただきました。

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その他にも、日本・フランスのSAL参加ステッチャーさんたちの、ブログアップやコメントや写真に、どれだけ助けられたことでしょう…
最初にフランスのネットショップに糸を頼んだ時点で、「あ、あなたこれはMary Wighamを刺すための準備ね?」とお返事をもらい、
とても嬉しくなると同時に、このイベントの影響力の大きさに驚かされたものです。
色選びに苦しんだ時期には、毎日各国の写真を見せていただいて、配色を考えました。(でもこの出来ですが…)
古いものをいつまでも大切にしよう、それをいい状態で保存していこうとするヨーロッパに人々の基本の思いからこのSALは生まれましたが、
本来の目的である寄付も予想以上に集まって、少なくともこのMary Wighamは、いい状態で今後200年は保存されるという由。
私も微力ながら協力できて本当にうれしいです。

ネットあってのことではありますが、この素晴らしい出来事は、
私にとっては2009年一番のビッグイベントとなりました。



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以前からのステッチの大切なお友達、今回は一緒にSALに参加して刺すことができました。
私が手掛けた今までで一番大きなこの作品に、彼女たちの名前を刺せて、一番うれしいのは、私自身です。




出来上がった時には、刺し手のことを後世の人がインスピレーションできる何かを残すように… というジャクリーヌさんの提案ですが、
この2009年を生きた私にとって、思い出深い、たくさんのはじめてが詰まったこの作品を、どのように残しましょうか?
それは、これからの額装の悩みへと引き続きます。

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by tchierisu | 2009-12-01 00:12 | クロスステッチ